こんにちは。
この度、新しい本を販売することになりました。タイトルは『Navier–Stokes方程式 有限時間爆発解 ― 構成的証明の詳解』です。今回は上下巻の2冊構成で、上巻が「数学的準備」、下巻が「解の構成」になっています。簡単にどんな本なのか紹介します。
購入リンク:
どんな本?
2026年、OpenAI から ''Finite Time Blowup for Navier–Stokes'' という論文が公開されました*1。これはかの有名なミレニアム懸賞問題の一つ*2を解決したと主張する論文で、しかも AI の力をフル活用して解決したとあって、今まさに世間の注目を集めています。
私は博士課程まで数値流体力学を研究していて、扱っていたのがまさに Navier–Stokes 方程式でした。そのため、この論文が公開されたときに「せっかくなのでちゃんと理解したい」と思ったのが、この本を作り始めたきっかけです。
ただ、原論文を読むにはかなり多くの数学的準備が必要です。そこで、原論文だけを解説するのではなく、必要な数学を整理するところから始めて、最終的に証明全体まで辿れるようにしよう、と考えました。
その結果できたのが、この上下巻です。上巻では下巻を読むための数学を準備し、下巻では原論文の構成と証明を主定理まで追います。原論文を横に置いて逐語的に読むための本というより、必要な議論を組み直して、一続きの本として読めるようにしたものです。
想定している読者は、数学科の学部課程を修了した程度の知識を持っている人です。測度論、Fourier 解析、関数解析、多変数解析などの基礎は前提にしていますが、Navier–Stokes 理論や高度な偏微分方程式論の専門知識は前提にしていません。
上巻:数学的準備
上巻はこちら。

上巻では、下巻の証明で実際に使う数学をまとめています。
内容は、Fourier 解析や Sobolev 空間、Riesz 変換と圧力評価といった解析の基礎から始まり、自己相似変数、エネルギー評価、円筒座標での正則性へ進みます。さらに、多重スケール構成、振動による応力の実現、モーメント補正、形式的な構成から滑らかな場を作る方法など、原論文特有の構成を理解するための道具を扱います。
普通の教科書のように関連分野を網羅するのではなく、「下巻を読むために必要なもの」を中心に構成しています。また、長い証明の中で現在地を見失いにくいように、章の途中に初読のヒントや状況の整理を行うブロックなどを入れています。巻末には上巻と下巻の対応表や、記号・スケールの整理も載せています。
下巻:解の構成
下巻はこちら。

下巻では、OpenAI の論文の構成的証明そのものを扱います。
自己相似座標の導入から始めて、爆発する解の基本となるプロファイルを作り、それらを接続し、振動場によって必要な応力を実現し、残る誤差を修正していきます。最後は局所的に作った場を全空間へ移し、外力と解を構成して主定理まで到達します。
細かい計算を紹介する本というより、「なぜこの構成が必要なのか」「各段階で何を作っているのか」「それが次の段階にどうつながるのか」が追えるようにすることを意識しています。
原論文は166ページですが、前提となる数学や途中の議論を展開していくと、それだけでは済みませんでした。結果として、上下巻あわせて600ページ近い本になっています。
AIを使って制作しました
実は今回の本は、複数の AI モデルをガンガン使って制作しました。
構成の検討、原稿作成、レビュー、翻訳・照合などに AI を使い、私は企画の出発点と大枠の方針を決め、制作ワークフローを設計しながら進めました。数学的内容についても、複数モデルによるレビュー、原論文との照合、依存関係の確認、機械的検査、修正後の再確認などを行っています。
ただし、独立した人間の専門家による査読を受けた本ではありません。その点では、通常の専門書とは検証方法が異なります。
個人的には、「自分がまだ理解していない最先端の論文を、AIを使って必要な知識から逆算し、どこまで体系的に理解できるか」という試みでもありました。その成果物としてできたのが、この2冊です。
こんな人に
OpenAI の Navier–Stokes 論文を読んでみたい人、有限時間爆発の構成がどうなっているのか知りたい人、現代的な偏微分方程式の長い構成的証明を実際に追ってみたい人には、特に面白い本になっていると思います。
また、AIを使って高度な数学を学ぶ・整理する・本にする、という制作方法そのものに興味がある人にも読んでもらえればと思います。
最後に
改めて購入リンクを貼っておきます。
上巻「数学的準備」↓
BOOTH - 創作物の総合マーケットsmooth-pudding.booth.pm
下巻「解の構成」↓
smooth-pudding.booth.pm
興味のある方はぜひ読んでみてください!
ではまた。








